
中学時代からの親友にお茶に誘われた。
彼女が結婚してから、
あまり遊ぶ機会がなかったし、
出産してからはほとんど会えなくなっていたけど、
親友だと思ってた。
だから、
誘われてとても嬉しかった。
待ち合わせ場所のカフェに行くと、
彼女は胸にどこかの会社のバッジを付けていて、
久しぶりのあいさつもそこそこに、
大きなカバンから資料を取りだし、
保険の説明をはじめた。
「ちょっと待って。
私遊ぶつもりで来たんだけど」
そういいだせないまま、
1時間ほど。
彼女の独壇場だった。
一生懸命しゃべっている彼女のことばは、
なんにも頭に入ってこなかった。
話が済んだら、
「あ、こんな時間!
ごめん。約束があるんだ。
とにかく考えてみて。
いちばんいいプラン作ってあげるから」
もうすこし居たいからと、
席に着いたまま見送った。
私、何しに来たんだろう……
もう彼女にとって私は親友じゃないんだなあと気づいて、
短いメールを送った。
アドレス帳から彼女の名前を削除した。
nonno・東京